なくした時間にいてくれた

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4月7日。

私たちは入学式の前日、花実のお墓参りに来ていた。祐介くんと月命日にお墓参りに来るのは初めてだった。

花実が眠っている霊園の入り口には大きな桜の木があって、散り始めていた。桜が咲いている期間は短く、散っていく様子はきれいだけど儚くも見える。

短かった花実の命も儚く思える。

父と母は午前中に来ると言っていたから、私たちは午後に来た。

先に生けられていた花に持ってきた花を足して、二人で並んで手を合わせて拝む。目を閉じて花実のことを考えているとこちらに近付いてくるいくつかの足音が聞こえた。

花実のところに来たのか他のお墓に来たのかは分からないでいたけど、祈り終えた私たちが振り向くとそこには柴山くんを含めた七人の制服を来た高校生がいた。

花実が着ていた制服だ。