なくした時間にいてくれた

「あれ? 外にいたんだ。入ってくれていていいのに。ほら、入ろう」


岡くんのお兄さんは私たちよりも五歳年上だと聞いたことがある。あまり似ていないとも聞いていて、確かに顔はあまり似ていないけど、声はそっくりだった。

まるで岡くんが話しているように聞こえる。早く岡くんと話がしたい。

お兄さんに背中を押されて、おそるおそる中に入った。岡くんはまだ目を開けていない。


「ここに座っていて。今、うちの親は入院の手続きをしていて終わったらくるはずだから。俺は飲み物買ってくるから、待っていてね」

「はい」


お兄さんが病室を出ていくと私はまた一人になった。ううん、一人ではない。岡くんがすぐそこにいる。

微かに寝息が聞こえてくるが、なんだか信じられなくて私は岡くんの頬に手を触れた。頭は包帯で巻かれていて、顔にもいくつかの傷があった。

手にも包帯が巻かれている。折れてはいないけど、何針か縫ったらしい。怪我の様子を聞いたら看護士さんが教えてくれた。