なくした時間にいてくれた

時間がどのくらい経ったか分からないけど、外が暗くなっていることに気付いたときに『手術中』のランプが消えた。

長椅子に座っていた全員が立ち上がって手術室の前へ行くと、ドアが開いてマスクをした医師が出てきた。疲れた顔をした医師はマスクを外して、岡くんの両親に頭を下げた。


「先生、祐介は? 祐介はどうなんですか? 大丈夫ですか?」

「手術は成功しました。麻酔が効いているのでまだ目は覚めていませんが、あと一時間もしたら目が覚めると思います。怪我のわりには出血がひどかったので、輸血に時間がかかってしまいましたが、命に別状はありませんよ」

「そうですか、良かった。ありがとうございます!」


岡くんの両親とお兄さんは頭を深々と下げていた。私はホッとしてその様子を後ろから見ていた。

命に別状はないと言った……。

良かった!

岡くんは生きている。

力が抜けて、椅子にまた座る。

目覚めるまであと一時間。