なくした時間にいてくれた

「花実の夢? 確か保育士じゃなかったかな。中学の時の卒業文集にも書いていたし、職業体験も幼稚園に行って、楽しかったと話していたわよ」

「そうだな、お父さんも保育園か幼稚園の先生になりたいと言うのを聞いたことあるな。小学生の間、ずっとピアノも習っていたしね」

「そうなんだね。でも、分かる気がする。花実、小さい子が好きだったものね」


公園で遊んでいても小さい子に優しくしていたことを思い出す。花実だったら、素敵な保育士になれただろうな。

でも、もう叶えることは不可能。

私は保育士になりたいとは思ったことがなかったから、代わりに叶えることもできない。

だから、自分の夢を叶えるしかない。


「楓花は弁護士でしょ? だから、法学部なのよね」

「うん、まず入れないと夢は叶えられないけどね」

「大丈夫よ。いつもがんばっているし、花実もそばにいて応援しているわよ」

「うん、そうだね」