なくした時間にいてくれた

数日前、知奈には事故のあとに私の体に花実がいたことを話した。知奈に話しかけたのも体は私だけど、中身は花実だったことも説明した。

最初信じられないと言ったけど、しばらく黙り込んで考えていて……最終的には信じてくれた。

なぜ突然話し掛けてきたのか不思議に思っていたし、覚えていないことがあるというのも変だと思っていたらしい。

別の人間だったら、覚えていないというよりも知らなくて当たり前だよねと納得していた。

花実が私として過ごしていてくれたおかげで私たちは友だちに戻ることが出来た。修復不可能と諦めていたから戸惑いもあったけど、前のように話せるのが嬉しい。

こんなふうに相談も出来るのも嬉しい。


「うーん、難しいところだよね。でも、考えたくはないけど、もしと考えるとして……宇津井くんが突然いなくなってしまって、私にあげたいものがあって、それがあとから出てきたからともらってと言われたら……私ならありがたくもらうかな」