なくした時間にいてくれた

あとで写真をあげるのとも楽しそうに言っていたけど、あの後あげたのかな。

ベッドから降りて、腕を組んで考えてから花実の部屋に行った。花実が亡くなってから入るのは二度目だ。

一度目は葬儀が終わった日で花実がいなくなったのが信じられなくて、本当は部屋にいるような気がして開けた。だけど、いなかった。

当たり前の悲しい現実にすぐ部屋を出た。

撮ったという写真、どこかにあるかな。プリントアウトしたようなことも言っていた。

机の上には何もなく、引き出しを開ける。何も書かれていない真っ白な封筒があったのでそれを開けてみた。

あった。

同じ写真が二枚入っていた。浴衣姿の花実と白いTシャツを着た一人の男の子が写っている。花実が言っていた好きな子と撮った写真に違いない。

まだ渡せていなかったんだ……。

事故に遭ったのは夏休みが終わって二週間後だった。きっと渡す機会を待っていたのだろう。

いつ渡そうかな、どうやって渡そうかなと考えて。

でも、渡せる日は来なかった。