なくした時間にいてくれた

花実、ごめん。

ごめんね。

夏休みに友だちと遊びに出掛けていた花実が羨ましかった。母に浴衣を着付けてもらって喜んで花火大会に行く姿も羨ましかった。

私が出来ないことをしている花実が羨ましくて、妬ましいとも思った。

花実はいつでも私のことを気遣ってくれていたのに、自分の都合で勝手に妬むなんて間違っていた。

花実がどんなに元に戻りたかったかはメッセージを読んでいて伝わってきた。何度も早く戻りたいと書いてあった。

誰にも言えない本音を溢していたのだろう。

その間、私は呑気に寝ていただけだ。花実の苦悩を思うと切なくなる。

もう元に戻ってやりたいと思っていたことが何も出来ない。友だちとも遊べないし、話も出来ないし、浴衣も着れない。

そういえば……あの花火大会の日、帰ってきた花実が嬉しそうに報告してきた。好きな子と写真が撮れたとか言ってそれを見せてきたけど、私は「良かったね」と素っ気なく返しただけでその写真をちゃんと見なかった。