なくした時間にいてくれた

その時、外から帰ってきたマスターは私たちの様子を見て、冷やかした。


「いやー、外は風が冷たくて寒いけど、ここは常夏のようだね。二人とも顔が真っ赤だし。アイスでも食べるかい?」と……。


それからなぜか岡くんがバニラアイスを二つ注文したから、もう一度今日の模試のことを話ながら食べた。

目が合うだけで照れてしまうから、ぎこちなくなってしまったりもしたけど、何とか楽しく話が出来た。


「じゃあ、俺これからバイトだから」

「バイトしてるの?」

「あ、そうか。松本さんには話してなかったよね。スーパーで品出しのバイトをしているんだ。週二回で今は二時間だけなんだけどね」

「そうなんだ。誰か他にバイトしているのを知ってる人、いるの?」


私ではなく他の人に話した感じだった。学校ではバイト禁止だから多くの人には話してはいないと思うけど、誰に話したのか気になった。


「あー、うん。花実ちゃんだけが知っていた」