なくした時間にいてくれた

「入試が終わったら……というか、お互いに合格出来たら、俺と付き合ってくれない?」

「えっ? 付き合ってって?」


真剣に伝えてくれる岡くんに思わずどこになんて失礼な返しをしてしまいそうになる。

どこにとかじゃなくて、男と女ならそういう意味の申し込みだよね……そういう意味ってどういう意味なのよと自分に突っ込みたくなる。

笑って誤魔化したくもなるけど、真剣な眼差しに失礼なことは出来ない。

交際を申し込まれたのが人生初めてだから、私の頭はパニックを起こしていて、正常に動かなくなってきている。

真面目な話を茶化してはいけない。


「ある程度は気付いてくれているかなと思ったんだけど……ちゃんと言わないといけないよね。やっぱりこういうのって、勇気がいるよね。まずこんなこと言うの初めてだし」


岡くんの真剣な顔は崩れて、照れた顔になり前屈みになっていた体を起こして、頭を掻いて天井を見上げる。

照れる岡くんがかわいく見えてしまい、私は口元を緩ませた。