ポロッと涙が流れて、慌てて拭う。
でも、拭っても拭っても、涙は止まってくれなかった。


「鶴さん、どこ行っちゃったの……、ひとりにしないで……。鶴さん……」


ベッドに舞い戻って伏せるようにして泣いていたら、枕元に折り紙らしきものが置いてあるのが見えた。


よく見てみると、オレンジ色の折り紙を半分に切ったような形をしている。
その紙の先には、小さな穴がひとつ。
そこに細いヒモがついていた。


━━━━━七夕で笹に飾る短冊だ。


おもむろに手に取って、くるりとひっくり返す。
それを見て驚いた。


『夢でもいいから、鶴さんに会えますように 小春』


ちょっと弱々しいボールペンの文字で書いてある、私が書いた願い事。


そうだ。
行きつけのカフェに七夕飾りで笹の葉を飾っていて。
店長さんに「小春ちゃんも願い事があったら書きなよ」とオレンジ色の短冊とボールペンを渡されたんだ。


願い事なんて、叶うわけないじゃない。
そう卑屈になりながらも、どこかで願わずにはいられない想いを書いたのだ。


本当は分かっていた。
鶴さんが5年経っても見つからないということは、死を意味するということを。

だから「夢でもいいから」と記した。