鶴さんはソワソワした様子でテーブルの上に広がるごちそうにゴクリと喉を慣らし、嬉しそうに肩をすくめた。


「ねぇ、小春さん。このご飯は僕のため?」

「あ…………、……うん」


だって、7月7日はあなたの誕生日なんだもの。
ケーキのプレートにも名前が書いてあるでしょう?


と、いうか。

この状況は、いったい何?


「鶴さん……」


私が弱々しく話しかけると、鶴さんは視線を後方へずらして「あ」と目を丸くした。
壁掛けのカレンダーを見つけたらしい。


「え!もしかして、今って平成28年なの!?」

「うん、そう」

「そうなのか……。じゃあ、あれから何年経ったんだろ」


あれから、の「あれ」ってどのことを指しているのか、分かるようで分からなかった。
今のこの状況をしっかり飲み込める人がいたなら、丁寧に説明してほしい。


私は半分パニックだった。
もしかしたら顔は硬直していて、うまく笑えていないかもしれない。


「ねぇ、小春さん。僕が死んでから、何年経ったの?」


鶴さんは、以前のような明るい声で。

現実なのか夢なのか、区別がつかないような言葉を優しい笑顔で問いかけてきた。