確かに里ちゃんの言う通りかもしれない。

そんな悪意の塊のような人間がいることを、あたしは身をもって知っている。

表の顔は天使のように優しいのに、裏の顔は悪魔そのもの。

えげつなく残酷な行為を繰り返している加害者とそんな行為を繰り返されて少しずつ着実に追い詰められていった被害者。

―――あたしは気付かなかった。

まさかあんな恐ろしいことが起こるなんて……。

そんなことあの日までこれっぽっちも考えたことなんてなかった。

だけど、あれ以来あたしの人生は一変してしまった。

平穏な毎日が突然粉々に崩れ落ちた。

どうやったって……

もうあの子には会えない。しゃべれない。手を握ってあげられない。

あたしには、あの子がもう苦しんでいないことを願うことしかできない。

そんな無力さにあたしは毎日落ちつぶされそうになる。