イジメ返し2 ~恐怖の復讐劇~


「ちょっといい?」

とそのとき、急にあたしの隣にやってきた綾香がお玉を鍋に入れた。

何をしているんだろう……?

視線を綾香の手元に向ける。

すると、綾香はあたしの視線に気づいてニッと笑った。

「パスタを茹でるとき、誰か塩って入れた?あたし入れ忘れちゃったかもしれなくて。だから、塩が入ってるのか味見しようと思って」

綾香はお玉を鍋から持ち上げる。

並々と入れたゆで汁から湯気が立ち上る。

味見するにしてはあまりにも多い量。

――まさか!!

とっさに身構えたその瞬間、

「あたしに刃向かおうとした罰よ」

綾香はゆで汁をあたしの胸元に向かって勢いよくかけた。


「――熱い!!」

じわっと広がる痛みに思わずそう叫ぶ。

胸に張り付くエプロンとYシャツを肌から必死に離し、胸を確認する。

ゆで汁がかかった部分は真っ赤になってしまっていた。

「――どうしたの!?逢沢さん、けがはない!?」

騒ぎに気付いた先生があたしに駆け寄った。

騒がしくなる調理室内。みんなの視線が一斉にこちらに注がれる。

「やけどを……」

「どうして?胸元?何があったの!?」

「……っ」

思わず痛みに顔を歪める。

綾香とマミは目を見合わせてほくそ笑んでいるように見えた。

「どれ?先生にやけどを見せて?すぐに冷やした方がいいわ!!」

先生は動揺し、慌てていた。

エプロンを取りYシャツのボタンに手をかけたときハッとした。

どうして綾香があたしの胸元を狙ったのかに気付いたとき、鳥肌が立った。

綾香はやけどを先生が見ることを予想していた。

周りにはクラスメイト達。

やけどの跡を見せるということは、みんなの前で下着をさらすということ。

いくら同性でも見られたくない。

そんなあたしの羞恥心を綾香は利用していた。