「柴村さんも一緒にやろう?」
柴村さんを誘って一緒にパスタを茹でる。
「柴村さんって料理する?」
「私は……あまりしたことがありません」
「そっかぁ。あたしも……あんまり」
母が酒に依存していた時期も今思えば料理らしいことはあまりできなかった。
レトルトを温めて食べたり、ご飯を研いでおにぎりを握ったり。
そういえば、美亜は鮭おにぎりが好きだった。
『お姉ちゃんのつくってくれたおにぎり大好き!』
笑うと頬にうかぶえくぼ。
「……っ」
ズキンっと頭が痛む。
美亜のことを思い出すといつも決まって頭痛がする。
そしてフラッシュバックのように美亜が首をつっている場面を思い出す。
カウンセリングの先生も『辛いことは無理に思い出す必要はないんだよ』と言っていた。
ダメだ、もう考えるのはよそう。
美亜の顔が頭に浮かんであたしはそれを振り切るよう首を振った。



