「――優亜(ゆうあ)」
「ん?」
突然名前を呼ばれてパチパチと瞬きする。
「びっくりした。里ちゃんかぁ」
「里ちゃんか、じゃないよ。あの子のことまた気にしてんの?」
3人に囲まれている柴村さんをあたしの視線から遮るように立ち塞ぐ里ちゃん。
「え?」
「柴村さんのこと」
「あぁ……。うん、ちょっと気になっちゃって」
「あんまり見ないほうがいいって。今度は優亜があの3人に目つけられちゃうよ?」
「でもさぁ……」
「でも、じゃないって。あんまり深入りしようとするのやめな」
「うん……」
里ちゃんに諭されて渋々うなづく。
「優亜は優しいからあの子のことが気になるんだろうけど、あの3人は本当に危険だから。小学校の時からあの3人はいろんな子のことイジメて転校させたりしてるんだって。前にも話したでしょ?」
「聞いたけど……」
「あの3人はモンスターなの。人間の心なんて持ち合わせてない」
里ちゃんは眉間にしわを寄せて苦しそうに言った。