学校から帰ってきても『おかえり』の一言もなく、酒を飲みソファに横になって眠る母。
シンクに溜まった3日間分の食器からは異臭がし、小バエがたかっている。
床に散らばった洗濯物の山。
ダイニングテーブルの上には酒の缶に混ざるように督促状の手紙が封も切らずに置かれている。
玄関を開けると家の中はいつもすえた匂いがしていた。
気持ちが急激に荒んでいくのを感じる。
それを堪えて家のことをやろうとした。
掃除も洗濯も炊事も以前母がやっていたことを真似してやってみたけれどうまくいかないことも多かった。
それでも心が折れなかったのは、以前の暮らしに戻りたかったから。
父と離婚する前、父がいなくても母と妹と3人で暮らしていたあの平凡な暮らしがしたかった。
けれど、あの当時のあたしは自分でも気付かぬうちに相当なストレスをため込んでいたのは間違いない。



