美亜が小5、あたしが小6に進級したある日のこと、美亜が暗い顔をして帰ってきた。
『どうしたの?』
そう尋ねると美亜は少し困ったような表情を浮かべた。
『お姉ちゃん、あたし男の子に媚び売ってるように見える?』
『何言ってるの?美亜はそういうタイプじゃないでしょ?』
あたしは笑って答えた。
小5にもなって男の子と木登りやボール投げをして遊ぶ美亜が男の子に媚びを売るはずがない。
でも、その日を境に美亜は暗い表情を浮かべていることが増えた。
学校から帰ってくるとランドセルを玄関に投げ入れて遊びにいくことが多かったのに、部屋にこもり出かけなくなった。
忘れ物をしたと言っては一学年上のあたしの教室までやってきて絵具や習字のセットを借りに来たり、昼休みには理由もなくやってきてくだらないことを聞きにきたりした。
もしかしたらという予感はあった。
4階の教室からグラウンドを見ると、ちょうど美亜の学年が体育を行っていた。
女子と男子が分かれて列を作る中、美亜はみんなの後ろをトボトボと一人で歩いていた。
そんな美亜を指さして笑っている数人の女子グループ。
それに気付いた美亜は視線を足元に落としたように見えた。



