―――また始まってしまった。

新しいクラスになり、席が近い子とも話すようになり数人の友達もできた。

すぐに連絡先を交換して、お互いを名前で呼び合うようになり、放課後一緒に遊んだりもした。

あたしは特にこれといった問題もなく学校生活を送っている。

でも、クラス内では不穏な空気が流れていた。

一人の大人しい女子をあの3人が毛嫌いし始めたのだ。

彼女の名前は柴村静子(しばむらしずこ)。

腰まである長い黒髪。

前髪は切りそろえられているものの目をすっぽり覆ってしまうぐらい長い。

淵のある眼鏡。

膝下のスカート。

真っ白く細い手足。

自己紹介のときも何を言っているのか声が小さくて全く聞き取れなかった。

『何言ってんのか聞こえないんですけど~!!』

柴村さんの自己紹介に水を差すようにそう言った小山田マミ。


『同じく聞こえませーん!』

沢木綾香と渡部みやびがクスクスと悪意のある笑みを浮かべる。

柴村さんは動揺するでもなく、自己紹介を終えた。

その日からだと思う。

柴村さんがあの3人からイジメられ始めたのは。