柴村さんは眼鏡をずらすと目頭に浮かぶ涙を指で拭った。

「すみません。今まで……そんなことを言ってくれた人……いなかったので。小学校でも中学校でも高校でも……いつもあたしはずっとこんな学校生活を送っているんです……」

高校だけでなく小学生の時から柴村さんはずっとこんな風にイジメられたり、虐げられたりしながら生きてきた。

そう考えると胸の奥が痛んだ。

「……謝らないで?ねっ?それに、あたしたち友達でしょ?」

「友達……?」

「そう。もしまた何かあったらあたしに言って?一緒に戦おう。イジメなんかに……あの3人に負けちゃダメだよ」

「逢沢さん……、ありがとうございます。本当にありがとうございます」

「お礼なんて言わないで?それと、同い年なんだから敬語なんて使わないで」

「……はい」

あたしの目をまっすぐ見据えて大きくうなずく柴村さん。

「あっ、そうだ。連絡先交換しない?」

「連絡先……ですか?」

不思議そうに首をかしげている柴村さん。