避ける間もなくボールはあたしの腹部にぶつかった。


「うっ……!!」


腹部に鈍い衝撃が走り、くぐもった声が漏れる。


痛むお腹を抑えて体をくの字にさせると、今度は肩にぶつかった。


「痛い……。お願い、やめて!」


「やめて?今さら何言ってんだよ。アンタのお願いなんて聞くはずないじゃん」


綾香が冷ややかな口調で言うと、マミの隣に移動してボールを掴み勢いよく腕を振った。


ボールはあたしの顔面をとらえた。


一瞬、脳が揺れて意識を失いそうになる。


よろよろとよろけてその場に座り込んだあたしに向かって、二人はなおもボールを投げつけてくる。


頭、肩、腰、お腹、背中、脚。


「やめて……!!」


あたしの苦痛の叫びが体育館倉庫に響き渡った。