一瞬にして喉の奥がつまり言葉を発することができなくなる。
頭の中をぐるぐると回る言葉。
柴村さんよりまし……?
悪意のある綾香とマミの言葉。
教室中から浴びせられる冷たい視線
その視線が何を意味しているのかよくわからない。
だけど、好意的な目でないことは確かだ。
そのとき、教室の扉が勢いよく開いた。
「――先生、戻ってきたよ!!」
里ちゃんの言葉にマミとみやびがパッと柴村さんから手を離す。
「――誰にも言うんじゃないわよ。チクったら今度は全裸にしてやるから。いいわね?」
綾香はすっと立ち上がると、柴村さんのお腹を踏みつけた。
「ここにいる全員が共犯者だからね~!ちゃーんっと覚えておいてよ~?」
マミが教室中をグルリと見回す。
そして、3人は何食わぬ顔で席に戻っていく。
「うっ……」
苦しげな声を漏らしたあと、柴村さんはゆっくりと動作で立ち上がり椅子に深く腰掛けた。



