【西園寺カンナサイド】


「てかさ、どうしてそんなに長い時間見つからなかったんだろ」

「その家に住んでた子って一人暮らしで親がいなかったらしいよ?」

「だから見つかるまでに1週間以上かかったってこと~?そっか!だから遺体の損傷が激しかったんだ」

「えー、そうなの?ドロドロに腐ってたってこと?」

「そうみたい。だって匂いがするっていう近所の人の通報で発見されたんでしょ~?しかも手を繋いで死んでたんだって。イジメを苦にして練炭自殺なんてビックリじゃない?」

「うわぁ~、超悲惨‼死臭ってどんな匂いなんだろうね~」

ファストフード店の中で隣に座った見知らぬ女子高生が優亜ちゃんと静子ちゃんの話をしていた。

スタンガンで自由を奪った後、あらかじめ用意しておいた七輪を地下室に持ち込んで火をつけた。

2人の死因は一酸化炭素中毒。イジメを苦にした練炭自殺と警察は発表した。

イジメを苦にした自殺なわけないのに。だって2人をイジメていた綾香ちゃんたちはもう学校に来ていないじゃない。

みやびちゃんは自殺しちゃったし、マミちゃん一家は怖い人たちにどこかへ売り払われた。

綾香ちゃんは精神を病んで一生病院生活だし。

一応血のつながりのある静子ちゃんとのお別れはほんのちょっぴり悲しかったけど、しょうがないよね。

だって、パパの子供はカンナ一人で十分だもん。もちろん、パパの愛する人はカンナのママ一人だけ。


だから静子ちゃんのママにはカンナが小学生の時、一足先に天国に旅立ってもらった。

静子ちゃんの家の外には井戸があって、その井戸に静子ちゃんのママを誘い出して突き落とした。

でも、静子ちゃんのママは両足を骨折しているように見えたけれど死にそうな気配はなくて。

『静子に指一本でも手を出したらあなたをゆるさない!』

静子ちゃんのママはカンナを怒鳴りつけた。

困ったなぁ。早く死んでもらわないと静子ちゃんが学校から帰ってきちゃう。

だから優しいカンナは人間の頭ほどある石を井戸の中に投げ込んだ。

静子ちゃんのママの頭がスイカ割の時のように弾けたとき、それを見て大笑いしちゃったっけ!

第一発見者は静子ちゃんで、その日を境に静子ちゃんは死んだような目になり、身なりにも気を遣わなくなった。