うつろな目をした両親もつられて立ち上がる。

「あたし達が行方不明になったら……きっと警察が動き出すはずよ!!」

「それがどうした?お前、知らないのか?日本国内の行方不明者の数。お前もその中の一人になるんだ」

「そんな……」

絶望が入り混じる中、両親に手を伸ばす。

「お父さん、お母さん……」

けれど、その手を掴んでくれることはなかった。

「どうして……」

一体、何を間違ってしまっていたんだろう。

どこから道を踏み外してしまっていたの?

分からない。もう何もわからない。

目をつぶると、大粒の涙が溢れた。

因果応報……か。逢沢優亜の言葉が蘇る。

そうだね。確かにそうかもしれない。

友達だったみやびの遺品すら、あたしは金にしてしまったんだから。

「イジメ返しは大成功ね……」

真っ黒な車に乗せられる寸前、母がおもむろに抵抗を始めた。

「や、やめてぇぇ~!殺さないでぇえーーーー!!殺すならマミにして!!マミを殺して!!」

錯乱する母を男が鈍器で殴りつける。

抵抗する気を失った母がトランクに押し込まれる。

「次はいい親の元に生まれるんだな」

男は無常にそう言い放つと、あたしの頭を鈍器で殴りつけた。

ぐらりと視界が揺れる。

今、ようやくわかったよ。

叩かれるのってこんなにも痛かったんだね。

目をつぶると、涙が溢れる。

「ご……めん」

誰に向けたのか分からない謝罪の言葉を口にすると、あたしの意識はぷつりと途絶えた。