部屋の中にいる両親の姿にギョッとする。

全裸で正座させられている両親の顔は真っ赤に腫れ上がり、体中あざだらけだった。

「お父さん……お母さん……!」

あたしが部屋に入ってきてもうつろな目を向けるだけで言葉を発することができない。

「お前も隣に座れ!」

命令されたまま静かに正座をする。膝の上に置いた手が小刻みに震え心臓がバクバクと震える。

狭いアパートの中に土足のまま上がり込んだ黒ずくめの男たちは間違いなく裏社会の人間だった。

「あっ、あの……お金なら……絶対に返します!!そ、それにこのことも誰にもいいません!だから――」

「今回は運が悪かったな。金なんてどうだっていいんだ。あの財布の中に入っていたリストが問題なんだ」

「リストってなんですか?誰の名前が書いてあるんですか?」

「あのリストを見た人間は一家もろとも処分しろという命令が出ていてな」

「そ、そんな!!あたしはそんなリスト知りません!!それにリストがあのお財布に入っていたというなら、さっきいた子達も見てますよ?名前は逢沢優亜と西園寺カンナです!」

中を見たのは西園寺カンナだけだ。けれど、逢沢優亜の名前も出した。

ここまできたらあいつらも道ずれにしてやる。

「残念だったな。どうせ生きては戻れないから教えてやる。お前たちを消すように命令したのが西園寺さんだ」

「えっ……?」

「カンナお嬢様に金をとったと言ったそうだな?お嬢様が泥棒呼ばわりされたことを西園寺さんはずいぶん怒っていらっしゃったぞ?」

「西園寺カンナのお父さんが……」

「話はもう終わりだ――。行くぞ」

「行くって……いったいどこへ……?」

男はあたしの手を掴み立ち上がらせる。