「それ、ちょっと見せてもらえるかい?」
「あっ、もう持ち主さんが見つかったかも~!」
サングラスの若い男に財布を手渡すカンナ。
何故かドクンドクンッと心臓が脈打つ。
「これ、どこで拾ったんだい?中身は?」
中身を確認した男の顔が険しくなる。
「えー、カンナは分からない!だって、これってマミちゃんがバッグに入れて持ってたんだもん~!ねっ、マミちゃん?これってどうしたのぉ~?」
「し、知らないわよ!!」
思いっきりカンナを睨み付ける。
両親がこれをすぐに捨ててこいと言った理由が今ようやくハッキリした。
この強面の男達の誰か、もしくはその上に立つ人間の財布を盗んでしまったに違いない。
だから足がつかないところに捨ててこいとあたしに指示を出した。
でも、大丈夫。まだ言い逃れられる。
「お姉ちゃん、嘘ついたらどうなるかわかるな?最初のGPSの発信地点はここじゃなかったぞ?」
「本当に何も知らないんです。っていうか、この財布を拾ったのってあたしじゃないし!この子ですよ?」
あたしは逢沢優亜を指さした。
逢沢優亜が目を見開いて、顔を歪める。
どうだ。ざまあみろ!!せいぜい殺されないように注意しなさいよ?
「それと、この子がさっきお財布を開けて中身をジロジロ見てましたから!お金取ったの、この子かもしれませんよ?」
次にカンナを指差す。
「マミちゃん、ひどい~!カンナお金なんてとってないもん~!」
「じゃあ、あたしは関係ないので!!」
あたしはそう言うと、逢沢優亜と西園寺カンナに背中を向けて走り出した。
強面の男たちがあたしを追ってくる気配はない。
あいつらに罪をなすりつけることができてよかったと心の中でほっと安堵のため息をつき、家路を急いだ。



