「調理実習で柴村と同じ班なんて嫌に決まってんでしょ!?気持ち悪いし、汚いし、臭いし!」

ドクンッと心臓が不快な音を立てて鳴り出す。

クラスの全員の前でストレートな言葉で罵るなんて残酷すぎる。

「うちも嫌~。柴村って暗いし、一緒に料理作るとか考えらんない!マジ無理ぃ~!!」

「ちょっと、綾香もマミも言い過ぎだよぉ。柴村さんが可哀想だよぉ」

二人の言葉をクスクス笑って聞いているみやび。

直接攻撃しているわけではないかもしれない。

けれど、これも立派なイジメだ。

みやびは明らかにイジメを増長させている。

「つーか、誰だよ!うちらに柴村押し付けようとしてんの!!」

綾香がバンッと机を両手で叩き立ち上がると、クラス中が水を打ったかのようにシーンっと静まり返った。


「黙ってないでなんとかいいなさいよ!!」

どうして綾香に責められているのかわからない。

元はといえば勝手に自分たちがいいようにグループを決めて、あとは勝手に決めてと任せたくせに。

それなのに、今は被害者ぶって理不尽だと主張する。

けれど、言い返せる人はいない。

ここで言い返してしまえば、火の粉が自分に降りかかってくると分かっているから。

誰もが目を合わせないように背中を丸めて下を向き、自分に綾香の怒りが降り注いでこないことを祈っている。