「あたしは柴村さんがイジメられているのを黙って見ていられないだけだよ。お願いだから柴村さんをイジメるのはやめて!」


何度このお願いをしたかもう数えきれない。


これは彼女たちへのあたしの最後通告だった。


でも、彼女たちにそんなあたしの言葉は何一つ届かない。


「なんでアンタのいうことを聞かなくちゃいけないわけ?何様のつもり?」


苛立った様子の綾香が細く長い脚であたしのすねを蹴飛ばす。


あたしは両足にぐっと力を込めて耐える。


「この状況で口答えするなんて、アンタどうかしてるわ」


マミはそう言うと、口の端をくいっと楽しそうに持ち上げた。


そして、すぐそばにあった大きなかごの中からバスケットボールを手に取り思いっきり投げつけた。