「えっと、みやびちゃんはぁ……」

カンナはバッグからクリアファイルを取り出すと、書類に目を落とした。

若菜先生の時といい、カンナの情報力には驚かされる。

「みやびちゃんちは、両親が不仲だね。嫁姑関係がひどくてみやびちゃんも悩んでいるみたい。家庭の不満を学校で発散するよくあるパターンだね~!」

「そうなんだ……。渡部さんも色々あるんだね……」

「ちょっとちょっと~!優亜ちゃんってばダメだよ~!そうやって同情したら!」

「うん……」

「あのねぇ、みやびちゃんって意外と悪いんだよ?柴村静子ちゃん、わかるよね?」

「分かるけど……」

「みやびちゃんってね、綾香ちゃんやマミちゃんのいないところで静子ちゃんのことイジメてるんだよ?意外と悪質なんだから」

「そうなの……?知らなかった」

そうだ……。里ちゃんが学校に来られるだけではだめだ。

ずっと友達ができずイジメられ続きてきた柴村さんの為にも、あの3人を野放しにしておくことなんてできない。

「イジメ返し……しなくちゃ」

「そうこなくっちゃ~!」

そう呟いたあたしをカンナは嬉しそうに見つめていた。