「――瑠香!!」
そのとき、前方からこちらに駆け寄ってくる人影に気が付いた。
遠くからでもすぐにわかる愛しい人のその姿。
関先生だ。
私は心の中でにんまりと笑った。
もうこの際はっきりさせておいた方がいいのかもしれない。
彼にとって大切なのは瑠香ではなく私だと。
「どうしてこんなところに来たんだ!!体は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。そんなに心配しなくても。健太郎、これお弁当」
お弁当を受け取った彼はようやく私の存在に気が付いた。
「若菜先生……どうしてここに……」
「ちょうどいいところに来てくれたわ。ねぇ、関先生。私と瑠香ってね、中学時代の同級生なの」
「え……?そうなのか……?」
明らかに動揺する関先生。
「えぇ」
瑠香が小さくうなずく。
「奥さんがいじめられっ子だったって知ってました?みんなに嫌われて疎ましがられて。恥ずかしいですよねぇ」
クックと喉を鳴らしてそう言うと、関先生の顔が急に強張った。
「まさか……まさか……瑠香をイジメてたのって……」
関先生が瑠香を見つめる。瑠香は小さくうなづいた。
その瞬間、関先生は崩れ落ちるようにその場に座り込み頭を抱えた。



