「あなたたち……」
ぎょっとして目を見開く。
そこにいたのは西園寺さんと逢沢さんだった。
「センセー!またタバコ吸ってる~!ダメだよ~!」
「ちょっ、声が大きい!!」
慌てて西園寺さんの口を手のひらで塞ぐ。
心の中で舌打ちをしながら携帯灰皿に煙草を押し込む。
「あなたたち違うクラスなのに仲が良かったの?」
「ふふふ~!カンナ、優亜ちゃんのこと大好きなの~!だからお友達になってってお願いしたの~!」
「へぇ、そう。よかったわね」
この二人が友達かどうかなど私には関係のないことだ。
適当に相槌を打ってからちらりと逢沢さんに視線を移す。
逢沢さんは黙って私を見つめていた。
その瞳にはなぜか怒りが感じられた。
「なに?」
「先生ももうすぐ私と同じ状況になるはずです。助けてもらえると信じていた人からこっぴどく裏切られます」
「はぁ?」
「あたしがクラスでイジメられていると先生に話した時、先生はあたしの話なんてまともに聞かずにとりあってくれなかった。それどころか鼻で笑った」
「何度も言ったでしょ?あれはイジメじゃ……――」
「先生は生徒の見本になるべきです。でも、若菜先生はそうじゃない」
「さっきからずいぶん好き勝手に言ってくれるじゃない?」
目の下が怒りでぴくぴくと引きつる。
「センセー、怒った顔こわ~い!優亜ちゃん、もういこっ!」
西園寺さんのキンキンと高い声でそう言うと、逢沢さんの腕を引っ張って歩き出す。
一度振り返った逢沢さんと目が合う。
ウザい子。
何かを言いたそうな瞳から目をそらすと、私は再び2本目のタバコに火をつけた。



