「は……?何言ってんのよ!!そんなハッタリ信じろっていうの!?」
「本当よ!!今日中に30万を払わなかったら、アンタの勤め先にも取り立てに行くって言ってるのよ!」
「どうして!?私には関係がないことでしょ!?」
高校に借金取りが来たらすぐにその噂は学校中に広まるに違いない。
そうなったら、学校にいづらくなってしまう。
来年度は本職員になり、私の人生はこれから先もずっと順風満帆だったはずなのに。
関先生が正式に離婚したら、私は彼と一緒になる。
いずれは子供を産み、育休が明けたら再び職場復帰する。
2馬力で仕事をし、毎年長期休みには海外旅行に行き、優雅な生活を送る。
そのために今はこのボロアパートで質素に生活しているというのに。
それを壊されてたまるもんか。
「30万でいいのね?」
私の言葉に母がごくりと喉を鳴らす音が電話越しに聞こえた。
「ええ。今日までに」
「分かった。振込先、あとで教えて」
「ありがとう!加奈子ちゃん!!」
母はそう言うと一方的に電話を切った。



