――あの子だわ。
授業が始まってからも腹の虫は収まらなかった。
校長室ではあの3人のことをなじられただけでなく、煙草の件まで持ち出されて叱られた。
私が煙草を吸っているのを知っているのは西園寺カンナだけだ。
あの子が校長に告げ口したとしか考えられない。
「じゃあ、この問題……逢沢さん解いてみて」
教科書片手に教壇に立ちそう指示を出すと、逢沢さんは困ったようにうつむいた。
無理もない。この問題は応用だ。簡単に解けるはずはなかった。
「……――わかりません」
すぐに白旗をあげた逢沢さんを私は睨み付けた。
「今までの授業をちゃんと聞いていれば分かったはずよ。最近、たるんでるんじゃない?この間の中間テストだって48点だったでしょ?」
私の言葉に教室中がザワザワとうるさくなる。
「……っ!!」
明らかに動揺している逢沢さんに心の中でほくそ笑む。
――瑠香のお腹の中には赤ちゃんがいるの。瑠香、幸せに暮らしてるから。
マリの言葉が脳裏をよぎる。
もっとだ。もっと苦しめばいい。
瑠香を苦しめられない分、代わりにアンタを苦しめてやる。



