【若菜先生SIDE】


放課後になり、ようやく校舎裏にある人気のないお気に入りスポットへ来ることができた。


「ハァ~、疲れたー」

大きく背伸びをしてくわえたタバコの煙を肺の中に思いっきり吸い込み、肺の中に煙が充満したところで『校内喫煙禁止』という注意書きに向かって思いっきり煙を吹きかける。

一体誰が校内では禁煙しなければいけないと決めたんだ。

そうじゃなくてもストレスがたまる職業だというのに、一服の時間まで奪われるなんてたまったもんじゃない。

それにしても……。

逢沢優亜のあの目、あの言葉、あの態度。

あの子のすべてが気に入らない。

「ああいう女って、みんなから疎まれるのよね……」

フンっと笑うと鼻から煙が出た。

クラスの中のカーストは大体把握している。

教室内で話し合いなどをさせれば、誰が1軍で誰が最底辺かすぐにわかる。

発言力のある者と黙って従っている者は如実に別れ、天と地ほどの差がある。

私にとって発言力のある者のほうが好ましかった。

明るい1軍系の子達は、何かと私に声をかけチヤホヤしてくる。

友達感覚で話しかけられて少しイラッとすることもあるけれど、基本可愛い。

でも、4軍や5軍の子達は話が別。

彼女たちは私に声をかけてくることは少ない。

大体が陰鬱な雰囲気を体中にまとい、見ているこっちまで気持ちが萎える。