「カンナ……本当に色々ありがとう」
「いいんだよ~!そんなこと気にしないで~!」
倉庫から出た後、あたしのジャージが汚れていることに気が付いたカンナが自分のジャージを貸してくれた。
トイレで着替えて教室に向かう。
そのとき、自分の手のひらが小刻みに震えていることに気が付いた。
綾香たちにされた行為はあたしの心に深い傷をつけた。
大丈夫、もう綾香たちは帰ったはず。
そう自分に言い聞かせても、体が言うことを聞いてくれない。
また何かされるんじゃないか、もっとひどいことをされてしまうかもしれない。
不安が波の様に訪れ、教室に入ろうとする足を止める。
「――誰もいないから大丈夫だよ~!」
そんなあたしの不安を察してか、カンナはあたしの教室からひょっこりと顔を出して手招きしてくれた。
その瞬間、自然と涙が頬を伝った。
顔が強張り、唇が震える。
「うぅ……っ」
「あれれれ~?優亜ちゃんってばどうしちゃったの~?」
カンナは子供の様に泣きじゃくるあたしの手を引き、教室に入った。



