体育館倉庫の中は湿気がこもりカビ臭い。

雨が降っていることもあり倉庫の中はジメジメとしていた。

雨音だけが響く静かな体育館倉庫の中であたしは床に正座させられていた。

「あのねっ、今日ボールを取りにここに入ったときすごいの見つけちゃったの。これこれ」

マミはそう言うと、奥にあるマットを引っ張り出してきた。

白いナイロンマットの上に黒いテカテカと光る何かが乗っている。

「ひっ!!」

喉の奥がひゅっと詰まった。

それが何か気付いた瞬間、あたしは弾かれたように立ち上がっていた。

最も苦手とするそれを見て、全身がガタガタと震える。

「アンタ、何そんなに怯えてんの?ボロ屋に住んでるくせに。見るのなんて日常茶飯事でしょ?」

「うわ~、綾香、きっつー!」

マミがケラケラ笑う。