あたしはこんなに重たい気持ちを抱えているというのに、あの3人は学校生活を心の底から楽しんでいるように見える。

あたしから借りるという名目で奪った5千円で放課後には映画を見るなんて。

これから先、今回のことで味を占めた彼女たちがあたしにお金をたかってくるのは目に見えていた。

イジメは徐々にエスカレートしていく。

本来、生徒を守るべきはずの先生は綾香たちの味方だ。

里ちゃんはずっと登校できな状態が続くの……?


これから先もあたしや柴村さんばかりが我慢をして、綾香たちは好き勝手に生活するの……?


「よーし、クラスごとに一列に並べ!」

体育教師の声で生徒たちが一列に並ぶ。

心も体も疲れ果てていた。

今日は5限授業だ。帰りのHRが終われば家に帰れる。

「今日はここまでだ」

頭がひどく痛む。

「ありがとうございましたー!」

授業の終わりを告げるチャイムが体育館に鳴り響き、生徒たちが声をそろえて頭を下げる。


教室に戻ろうと一歩を踏み出しかけた時、あたしの肩を誰かが叩いた。

「――体育館倉庫に来て。来なかったらどうなるか分かってるよね?」


にこりと笑ったマミの後ろで綾香とみやびが意地悪気に笑う。

そんな……。

頭痛だけではなく耳鳴りまでしてきた。

でも、3人に従うしかあたしに残された道はなかった。