「柴村さんが掃除してくれたからよかったものの……。みんな怒ってたわよ?教室に戻ったらちゃんとみんなに謝りなさいね」
「あたしが……謝る?そもそもあたしがコーラで遊んだって言ったのは誰なんですか?」
「沢木さんよ」
コーラをかけたのは綾香だ。その綾香の言葉を先生は信じ込んでいる。
「――違います!!あたしにコーラをかけたのは、沢木さんです!あたし、コーラをかけられて背中を蹴られたり暴力を振るわれたんです。クラスのみんなも見ているんです!!」
「あのね、みんなが沢木さんの言う通りだって言ったのよ?」
「違う。そうじゃない!!あたしは沢木さんに――」
「――みっともない!」
必死に訴えかける言葉は先生にぴしゃりと遮られた。
空気がピリピリと張り詰める。
みっともないという先生の言葉の意味が全く分からない。
「言い訳はもう結構よ!クラスのみんながあなたが悪いって言ってるの。それなのにあなたは自分の罪を認めようとせず言い訳ばっかり」
「それは……」
先生は何も知らないからそんなことが言えるんだ。
あたしは間違いなく綾香にコーラをかけられた。
でも、それを証明してくれる人は教室の中にはいない。
綾香に刃向かえば、次は自分の番だと恐れているクラスメイト達は見て見ぬふりを決め込んだ。



