その日の休み時間。

綾香たち3人は柴村さんの席に向かった。


「柴村、うちらの飲み物買ってきてよ」

「え……?」

本を読んでいた柴村さんはゆっくりと顔を持ち上げた。

「飲み物……あっ、はい」

柴村さんは小さくうなづくと席から立ち上がり、自分のバッグからお財布を手に取った。

「コーラ2本とお茶1本ね。ほらっ、さっさと行ってきて。うちら超ノド乾いてんのわかんない?」

「はい……」

マミに急かされて柴村さんがお財布を手に教室から飛び出していった。

「あー、アイツに頼めばなんでもしてくれるし楽でいいわ」

「ねっ!でもさ、うちら教室の中で陰気なアイツといつも一緒にいるんだよ~?気持ち悪い空気吸ってすんだし、このぐらいしてもらってもバチ当たらなくない~?」

「あはは!!確かにね」

綾香とマミがケラケラ笑う。

「綾香もマミも柴村さんのことパシリすぎだよ?ちょっと可哀想だよ」

「ハァ~?みやびだってそんなこと言って自分だって柴村にお茶買ってきてもらうんじゃん!」

みやびの言葉にマミが信じられないとでもいうように目を見開く。

「まあ……そうなんだけどねっ?」

「でしょ~?てかさ、みやびってうちらの中で一番腹黒いよね!マジで達悪いから!」

「そんなことないです~!」

3人は目を見合わせて笑う。

あたしには何が楽しいのかさっぱりわからない。

どうして笑っていられるの?どうして、どうして?