「はぁはぁ…」

ーブッブー!!!ー

「え?」

ーキキィィー!!!ー

「はぁはぁ…」

「あっぶねぇな!!ちゃんと前見てあるけっ」

ギリギリで止まったけど、車にひかれそうになった。

ーブゥゥーンー

私はそこから2、3歩歩き階段を駆け下りた。

海の家。そこを目指して砂浜を走る。けど、そこにあったのは…





見たことのないボロボロの家だった。





「え…」

「ここはね、今は誰も住んでないのよ」

「あ…」

さっきの服屋の人が追いかけて来てくれていた。

「それって…」

「…家事」

「え?!」

「家事で亡くなったの。2年前に、父親とその息子が。助かったのは母親と娘だけ…」

「なんで…あ…」

な、みだ?…どうして…。

「もしかして…」

服屋の人の名札を見てみると名前は…

”鷹島”

だった。

「…うそ…」

翼は…死んでいたの?

「息子…さんの…名前は?」

「翼」

翼?うそ…

「いや。…いやぁぁぁぁぁ!!」

どうして!!なんでよっ!!

「うわぁぁん…」

翼ぁ!!嫌だ!!!会いたい!昨日はあんなに元気だったよ!!

「翼ぁぁ!!!」

「…グスッ」

「会いたいよ!!!翼ぁぁ!どうして?!!私の前にいた翼は…幻だったの!!?…」

翼っっ!!

ーチャリンー

「…これ…」

翼にもらったリング。

”つらいときは涙を流せばいい。その分強くなれるから”

そうだった。涙をながすばかりじゃダメ。

私は立ち上がり海の家に、入る。

昨日とは違う。ボロボロになって焼けている。