振り返っても見えるのは、今歩いて来た道。 誰もいない。 「…」 まさかー… お姉さん? 「櫻井!どうした?」 柳先生が車の前から呼んでいる。 「え…あ…今…」 "あなたはもう、こっちの道を選んじゃダメ。圭吾のとこに行って" トン! 「!」 トンっと、背中を押されたように感じた。 "…来てくれて、ありがとう" もう一度後ろを振り返ると、もう何も感じない。 お姉さん… 本当にありがとう。 「…今、行きます!」 柳先生の元に向かって走り出した。