翌朝、目が覚めるとパンの焼けるいい匂いがした。 たった3ヶ月だったが、懐かしく思える匂い。 誰かと、一緒に暮らしていると実感できる匂い。 「…起きなきゃ」 布団から起き上がり、身支度を整える。 今日はこれから、柳先生のお姉さんのお墓参りに行く。 何故お墓参りに行こうと柳先生が言ったのか、わからない。 私が、お姉さんの遺書を見てしまったから? 私もお姉さんと同じだからー…? コンコン。 「!」 そんなことを考えながら身支度をしていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。