「おーい、櫻井。大丈夫か?」
「え!?あ…」
ハッとしてみると、いつの間にか榊原が目の前にいた。
「頼むぜ。もうすぐ、俺の出番なんだから」
「うん。ごめん」
辺りを見渡すと、色々な高校の制服を着た人たちが行き交ってる。
ここまで、どうやって来たんだろ。私…
「いいよ。それより…」
自分が怖いなぁ。
「圭吾、彼女いたんだってな」
「!」
「まぁ、あのツラでいない方がおかしいけど」
ここに来ても、その話題。
もう、聞きたくないんだけどー…
「…ショック?」
ドキ。
「え?」
「この間のプールでの出来事で、ちょっと思ったんだよね」
「?」
「圭吾の彼女は、櫻井なんじゃないかって」
…は?
「圭吾の熱愛発覚してから、櫻井が珍しく動揺してるし」
動揺?
私が?
「どう、当たってる?」
ニヤリと笑みを含め、榊原が聞いてくる。
「…ハズレだよ」
どう考えたら、私が柳先生の彼女になるの?
「えー!?俺、誰にも言わないぜ?な、だから本当のことを…」
「だから、違うんだっって。柳先生は…誰にでも優しいでしょ?生徒想いでカッコ良くて素敵ってよく騒いでるじゃん」
主に、女子だけど。
「プールでの出来事も榊原が変なこと言ったから、私と2人でいたのが心配になって来てくれただけだよ」
「あぁ…圭吾、女子にだけは優しいからな。男子には厳しいけど」
「…」
…それは、榊原の態度が悪いからじゃないの?
[次のレースに参加する生徒はー…]
「あ、次のレース俺だ!!じゃあ、櫻井頼むな」
「うん」
榊原は慌ててプールサイドに向かった。
「…はぁ」
一人になった途端、溜め息が出てしまった。



