「おはようございまーす」


ビクッ!


早朝散歩の人か、誰かに声をかけられる。


恐る恐る振り向くと…



「…あ!」



昨日の男の人だ!


今日はギターを持ってない。


本当に散歩だけどいう感じ。



「あ、あの、昨日の…」


男の人は首を傾げた後、思い出したような顔をする。



「あ、もしかして昨日、帽子落とした人ですか?」




やっぱり…!


「そ、そうです!あの、帽子は…」

「ああ、僕が預かってます。ごめんなさい勝手に」



よかった…!



「ここで待っててもらえますか?30分くらいで取ってこれると思うので」

「はい。…あっ!」


今気づいたけど、公園にはちらほらと散歩してる人がいる。


腕を振ってウォーキングしてたり、犬を連れてたり。



ここで30分も待てる気がしない…。



「あの…今日の夕方、またこの公園に来ますか?」

「え?」


男の人はまた首を傾げた。



「ちょっと、家に帰らなきゃいけなくて…夕方、返してもらってもいいですか?」



嘘をついちゃったけど、どうしてもここにいれない。



「ああ、来ますよ。じゃあ夕方の6時くらいにここで」

「お願いします!」


男の人は、軽く頭を下げて、歩いていった。



よかった、一安心…。



私はまたダッシュで家に帰った。