「…なっ!?」


耳をおさえて固まる私を置いてあすちゃんはさっさと中に入ってしまい、教室の前には私1人。


「綾香?」


「あ、小林くん。」


名前を呼ばれて振り向くといつの間にか来ていた小林くんがいた。


「綾香1人?中杉は?」


──綾香、小林のこと好きになった?


そう聞かれて私はさっきあすちゃんに言われたことを思い出して…


「あ、その…あすちゃんはもう先に中に入ってるよ…?」


“好きな人がいるから”と言った小林くんの言葉。


“小林のこと好きになっちゃった?”って囁いたあすちゃんの言葉。


このふたつの言葉が頭の中をグルグル回って、私は変に意識してしまう。


結果小林くんの顔を見れないままシドロモドロに答えてしまった。


「…じゃあ、俺らも行くか。」


小林くんは特になにも聞かなかった。


「う、うん」


私は謎のモヤモヤを胸に抱えたまま、第二図書室へと入っていく彼の背中を追いかけた。