綾香の隣にいたのは文野龍哉と平山玲央…だったと思う。
あの二人は本当に楽しそうに走ってるし、なにより速い。
…正直アイツらと同じ学年じゃなくてよかったって思ったもんな。
[綾香って前、平山と一緒にいたよな?どういう関係]
俺はそこまで打って1文字ずつ消した。
こんなこと聞けるわけないよな…
俺はスマホを置いて腕で顔を覆う。
目を閉じればまぶたの裏に浮かんでくるのは綾香と、平山の姿…。
平山が綾香に話しかけて、綾香も笑いかける。
脳裏に浮かんだ二人に自嘲じみた笑いが溢れる。
今日一日、少し話して浮かれた俺がバカみたいだ。
「…はぁ」
それでも俺は綾香のことが好きだし、せっかく話せるようになったんだ。
大翔と中杉が付き合ってるんなら、これから接点も増えるだろうし。
これからゆっくり距離を縮めていくか。
俺は再び大きく息を吐いて無理矢理気持ちを切り替えた。


