今、この家にいるのは俺と直生の2人だが別に親がいないわけじゃない。
親はアパレルブランドを経営しており、そこそこ人気らしく2人とも忙しく働いている。
といっても育児放棄なわけではない。
直生が生まれた時も育児休暇を取ってたし、それは俺が生まれた時も同じだったらしい。
ちなみに直生の学校行事の時は2人揃って休みを取ったりしている。
さすがに2人揃って休みはあまり取れないらしいが。
俺が小学生の時にもそうした学校行事にはできるだけ見に来てくれていた。
ただ俺が中学生になってからは、直生が小学生になるということもあって俺の学校行事のときに休みを取るのは辞めてもらった。
直生のほうを優先させてほしいと言えば聞こえはいいが、ただ単に、親に来て欲しくなかっただけだ。
着替え終わり、またリビングに戻り直生に声をかける。
「あ、兄ちゃん!」


