「あぁ、1人は文野龍哉だったし綾香の弟だと思うけど、でももう1人男いたんだよ。綾香も普通に笑顔だったし。」
「へ〜綾香ちゃんが男子に笑顔ね〜。綾香ちゃん、男子に話しかけられると固まるか明香の背中に隠れるか、なのにね。」
…やっぱりアイツが綾香にとって“特別”ってこと、だよな?
「つーかお前、なんでそんなこと知ってるんだよ。」
綾香が男に話しかけられると固まるとか、綾香に話しかけたことがあるならまだしも、コイツは話しかけてないはずだし。
「いや、綾香ちゃんって明香とずっと一緒にいるから明香見てたらつい目に入るんだよ。」
「…あぁ」
そういうことか。
そういやこいつ中杉と付き合ってたな。忘れてたわ。
「お前、今失礼なこと思っただろ。」
大翔がジロッとこちらを見るが、「別に」と一蹴する。
そこでちょうど家に着いた。
「じゃ、また明日な。…あと、お前のおかげで綾香と話せたし、それだけは感謝してる。」


