教室を出て廊下をいつも通り歩く。
ただ、私と小林くんの足の長さは全然違う。
そうすると当然歩く速さも違うわけでどんどん差が開いていく。
これ以上差が開かないように早歩きで小林くんの後ろを着いていく。
そのとき小林くんが後ろを振り向いてパチッと目が合う。
「…悪い」
小林くんは一言そう言うと私の歩くペースに合わせてくれた。
「あ、あの…」
思い切って小林くんに声をかける。
「ん?」
「…あ、ありがとう」
小林くんのさりげない優しさがただただ嬉しかった。
「…っ、別に」
小林くんはすぐにプイッと前を向いた。
でも、チラッと見えたその横顔や耳は赤く染まって見えた。
なんだか小林くんの方を見れなくなって俯いて歩く。
「・・・」
「・・・」
そのままふたりとも黙ったまま、隣りに並んで歩く。
茜色に染まった廊下はもう誰もいない。