「いや、その、さ……っ!」
小林くんは背が高いから見上げるように小林くんの顔を見る。
すると、なぜか小林くんの顔が赤くなった。
「…小林くん?」
「あ、いや、その…文野のこと、綾香って呼んでもいいか、?」
少し顔を赤らめて言う小林くんになんだか鼓動が早くなる。
「…?」
思わず胸を押さえて首を傾げる。
「文野、どうした?」
「あ、えっと、うん。綾香って呼んで!」
「本当か?」
その瞬間、今までと本当に同じ人物なのかと疑ってしまうくらい小林くんは柔らかく微笑んだ。
今度は耳元に心臓があるかのようにバクバクと早く大きく鳴る。
「う、うん!もちろん!!」
そんな心臓の音に気づかないフリをして私は笑った。
「さーて、そろそろ帰ろっか!」
「え!?ちょっ大翔!?」
いつのまにかあすちゃんと一緒に私たちを見ていた平山くんがあすちゃんの手をキュッと握る。


