デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そしてゆっくりとまぶたを開き、「……わかった」と呟く。

「お前の選択は、それなんだよな」

「はい……」

またうなずく桜。

それを見て、ゆっくりとさっき二人で座っていたソファの方へ。
その上に無造作に置いてあった夏用のマントを取り、バサッ、と音を立てて羽織った。

「シュリさん……」

「帰る」

短くそう言い、少し押し黙ったあと、桜に言った。

「桜。頼みがあるんだ」

「何ですか、できる事なら何でもします」

思わずシュリの片手を、両手でギュッと握りしめた。

温かくて柔らかなそれに少し苦しく微笑んで、

「王宮の門まででいい。見送ってくれないか」

目を伏せ、少し固い声で言った。

桜はすぐにうなずいた。

「はい。もちろん。街には出られないですけど……それなら」

揺れる黒い瞳を見つめて、シュリはふっと笑った。

「ありがとう。……ごめんな、桜」